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南船北馬inblog

【旧:南船北馬(HTML版)はこちら】
【南船北馬】:絶えず方々に旅行すること。昔、中国では、南部は川が多く船で、北部は陸地を馬で旅行したことからいう。そんなふうにしょっちゅう旅に出られたらどんなに楽しいことだろう…
by gdcl-nshb
カッセルに到着してみれば
 森林や牧草地、時折現れる赤褐色屋根の家々が連なるドイツらしい田舎町(?)。異国の景色である。そんな車窓からの風景を眺めているうちに、列車はカッセルへ到着した。

 さて、今回の旅の目的である。いつものように物見遊山観光ではあるが、メインとなるのは、ここカッセルで開催されている現代美術の国際展「ドクメンタ12」だ。ドクメンタは、5年に一度カッセルで開催されてる現代美術の国際展で、ヨーロッパにおける展覧会としては、ヴェネツィアビエンナーレとともに有名である。オレはドクメンタを貪欲に堪能すべく、カッセルまでやってきたというわけだ。

 ICEが到着したカッセル駅は、街の中央(?)に位置する中央駅ではなく、ヴェルヘルムスヘーエ駅という別の駅である。感覚的には、大阪駅と新大阪駅、横浜駅と新横浜駅、神戸駅と新神戸駅、と、まあいくつ連ねても同じことしか云っていないが、ようするにそんなイメージである。
 ガイドブックの地図上では地図自体が小さかったこともあり、この駅から市の中心部までそんなに離れているわけでもなく歩いても20分程度なのかな、と勝手に想像していたのだが、実際にはトラムで2、30分くらいの距離があり、とてもじゃないが歩ける距離ではなかった。
 もうひとつ見当と違っていたのは、もっと古い建物が立ち並ぶ、いかにもヨーロッパの古街というイメージを勝手に想像していたのだけれど、カッセルはむしろ郊外の住居地域的な雰囲気で日本に置き換えてみれば軽井沢的(高級避暑地ではなく山間の低層住宅地域といった外見的要素だ)。これも想像とは全然違っていた。
 もっとも数日すんでみると、それが落ち着いた街の様子となっていて、せわしない都心よりもいいかもしれないなぁと思ったりもしたのだが、それはまたのちの話だ。

カッセルに到着してみれば_d0081682_11275870.jpg 泊まったホテルはこのヴェルヘルムスヘーエ駅のすぐ隣。本当ならば、市の中心部にホテルを押さえたかったところなのだが、そりゃ5年に一度の大イベントの年である。オレの初動が遅かったせいもあって、それなりにいいホテルはどこもフルブックという状況であった。ようやく見つけたホテルも、特別料金となっていて、金額だけは5つ星くらいの額になっていた。まあそれでも泊まれるホテルがあっただけでもよかったというのは確かだ。
 中心部から離れているということについても一見不便ではあったが、街の中はトラムやバスが縦横に走っていて、移動効率はそんなに悪くはない。かなりフットワークよく動けたといってよい。しかもホテルから宿泊日数分の交通機関フリーパスをもらえ、まったく不便さは感じなかった。
 結果としてはこのホテルで全然問題がなかった。あまりレストランなどがないというのはネックではあったが、それはこの駅に限らずカッセル全体においてそうであったし(本当はあるのだろうけれど繁華街は見つけられなかった)、それを補って余りあるといってよいだろうインフォメーションセンターが極近くにあり、非常に便利だったというのはかなり高得点である。総じて、結果オーライだったな、と思う。

カッセルに到着してみれば_d0081682_11284279.jpg もうひとつちょっとしたコネタではあるが、このホテルのエレベータはドア部が斜めになっているのが不思議であった。2面扉は最近よく見かけるが箱自体が変形なのははじめてみた。

 ともあれ、さっそくホテルにチェックイン。時間は夕方の5時すぎだろうか。しかし晩夏のヨーロッパはまだ日が長くまだまだ午後の陽射しである。とりあえず、様子見程度に街を探索してみようじゃないか、と、市街地へと向かった。

 トラムに乗って20分。町の中心部に到着する。といってもなにか目標があって、というほどの目的はない。繁華街に出れば、夕食や酒、土産などもあるかしら、という程度の散歩である。もっとも物欲食欲の消費というのは旅の醍醐味であり、その点ではまさに旅らしい行動といってもよい。
 トラムの車窓から見る田舎町、というほど小さくはない落ち着いた町並みが心地よい。低層のアパートメントのような住宅街から次第に店などが増えだし、ああ、繁華街に向かっているんだなぁという風景の変化もまた楽しい。まあ焦りのない観光、散歩のようなのんびりとした行動が心地よいのだ。

by gdcl-nshb | 2007-09-01 05:00 |  ├ '07 カッセル編第1夜
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