【南船北馬】:絶えず方々に旅行すること。昔、中国では、南部は川が多く船で、北部は陸地を馬で旅行したことからいう。そんなふうにしょっちゅう旅に出られたらどんなに楽しいことだろう…
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![]() 昨晩と同じナイトバザールへの道のりでシアターに到着し、まずはレセプションコーナーに行き、席を押さえる。ではあるが全然混んでおらず、正直拍子抜けというか、予想どおりというか、とにかく2〜300席くらいはあるだろう場内で観客は2、3割くらい。これはさすがにさびしい。日曜日という曜日の関係で観光客も地元の人も少ないのかもしれないが。 場内までのエントランスでは人形使い師たちが人形とともにお出迎えをしてくれる。ようこそ、とばかりに握手をし、花飾りを手渡される。ちょっと嬉しい。なので、めったにしない記念写真をお願いして人形と2ショットを撮ってもらった。あ、もちろん人形使い師も写っているのだけれど、それはいないという見立てである。 十数分ほど待っていよいよ開幕である。 まずは映画で人形劇が廃れ、そして再興した事を簡単が紹介される。なるほど判りやすい。 そして続いて、ハヌマーンが登場するのだが、まずは影絵人形による演技があり、それに続いて人間による演技、そして最後にあやつり人形が登場する。皆、同じキャラクターであり、それぞれが(多分)同じシーンを演じている。ようするに同じことをやるにしても表現者によって表現の仕方も違うという、当り前かも知れないがなかなか実感できないことが、素直に頭の中に入ってきた。非常に興味深い。面白い。 さて、いよいよ本当に劇の始まりである。二人の神や英雄、魔人が入り乱れての神話物語が語られていく。ヒンドゥー系神話については、まったく知らないというわけではない。とはいうものの実のところ、あまり判ったとは云いがたかった。科白が理解できないということが一番の原因で、そのフォローとしてある舞台脇の英語字幕も表示が早すぎて(というよりもオレの読解速度が遅すぎるのだ)役には立たず。これはオレのせいか。 責任転嫁するわけでもないが、アジア神話って理路整然とした時間の流れとは微妙に異なっていたり、登場する人物たちの思考や感情もいまひとつ統一されていなかったりして、といった物語であるために、なにがどうなっているのか判らない。また演技(操作)自体もときに洋式美という名の暗黙の共通言語である場面も多く、事前の知識なしにはなかなか理解しにくい。それでもなんとなく想像で判らない点を空想補完し、これは月と太陽がケンカする話なのだろうと判った気にはなってみたが、もしかすると思いきり違うストーリーであったかもしれない。 そんなわけで物語に対しては、いまひとつ乗りきれないところもなきにしもあらずではあったが、しかし、3人の人形使いによって操られる人形の演技自体は、なめらかで実に美しかった。プロだから当然といえばそうなのかもしれないが、とてもあやつり棒で動かしているとは思えない。 さらに、この人形劇はけして人形だけが演ずるショーではなく、人形の演技にときに人間の役者も入り乱れて、また影絵も自在に活用して舞台を作り上げていくのである。ダイナミックに、そして変幻自在に描かれていく。実のところオレは、普通に人形だけで物語をつむぐものと思っていたので、このような自由度は面白いと思った。そして冒頭の三者三様の演じ分けが単なるレクチャーだけではないことにようやく気づき、上手く構成されていることに感心したのであった。クライマックス(?)の大蛇との戦いの場面などは、舞台全体を使っての様式的表現でありつつの活劇に迫力を感じた。 というわけで、その演技表現そのものが楽しめたこともあって、まあ話はなんとなく想像できればいいかな? という気もし、とりあえず観ておいてよかったなとは思うのであった。 もっともそんな斬新さも、CG、というほど凝ってはいないがそれなりのVFXによる効果映像をスクリーンに投射して爆発や星の散らばりを表現するのは、人形劇の舞台としてはちょっとやりすぎかな。とも思った。伝統芸能としての人形劇の醸し出す素朴さをハイテクで装備してもなぁ、ちょっと興醒めするなぁ、逆に陳腐にも見えるしなぁ、という感覚からそう思ったわけだが、それもまた人形劇というものにヘンに幻想を抱きすぎなのかもしれない。とも思う。 幕間に、ハヌマーンとお姫様の物語が挿入されるのだが、これが観客いじりのコーナーとなっていたのにはびっくりした。お姫様が客席に下りてきて全員にキスをしてまわったり、ハヌマーンがいたずらをしてまわったりするのである。動きの滑らかさもあって人形使いが動かしていることを忘れて人形がキスすることにドキドキしてしまうのは、オレだけではなかったはずだ。 それにしても、これまた伝統芸能としてみせるためにもっと客と役者(人形)とは完全に切り離された別個の立ち位置になっているのかと思いきや、演芸よろしく客に関わってくる。つまりより泥臭い(?)エンタテイメントとしてこの劇があるということで、そもそも娯楽であるはずの劇からすればそれも当然なのかもしれない。 ハヌマーンのいたずらは本当に奔放でお客の荷物を奪い去って舞台におきっぱなしにするとかやりたい放題。どうやらハヌマーンはそれを取りにに来いとお客に対してさんざんアピールするのだけれど、当の客はそれに気づかないようで、ハヌマーンはちょっとがっかりした様子でフォローしていた。おかげで「そこはのるところだろ」と観ているこちらがハラハライライラしてしまった。 そんなこんなのいろいろと興味深い1時間が過ぎ、幕が下りる。人形と人間に見送られながら劇場を後にするのであった。
by gdcl-nshb
| 2007-02-04 12:00
| ├ タイ旅第三夜
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