【南船北馬】:絶えず方々に旅行すること。昔、中国では、南部は川が多く船で、北部は陸地を馬で旅行したことからいう。そんなふうにしょっちゅう旅に出られたらどんなに楽しいことだろう…
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タイといえば古式マッサージである。午後イチのイベントはこれだ。ホテルシャングリラ内にあるマッサージ店がツアーに組み込まれており、1時間の施術を受けることになる。本来ならば古式マッサージは2時間くらいが標準であるらしいが、古式デビューのお試しには1時間という長さはちょうどいいのかもしれない。
店の入口は何気に高級そうな雰囲気を醸し出しており、もし一人で来たなら臆してしかったかもしれない。そういう意味でもツアーにはツアーのメリットがあるように思う。 ともあれ入店する。店内には時間帯のせいかなんなのかは判らないが、他に客もほとんどおらず、待ち時間もない。もっともこれは予約していたせいだろう。 ひとりひとりに施術師がつき、まずは薬湯(?)で足を洗うところからスタートする。オレの担当は、ツアーご一行様にはりついた担当の中では一番若めの、いや、かなり若い人。20才くらいか。あるいはもっと若いのか。はっきりいってよく判らないのだけれど、それはまあどうでもよくて、むしろ注目すべきは某アイドルグループの童顔の某嬢(ワット・アルンのレリーフの彼女だ)にどことなく似ていること。そしてオレはその某嬢に対して何気にファンだったりするのだ。うーん、これは嬉しい誤算というべきか。 足を洗い終わると、全員別室に連れて行かれる。20畳くらいの部屋にはマットがビシリと敷きつめられており、マットごとにパジャマが置かれている。いかにもこれから施術しますという感じである。 早速「パジャマに着替えてください」と云う指示があり、一同、戸惑いつつ、恥らいつつ着替える。若者グループは、「全部脱ぐのかなぁ」とか「Tシャツはどうするのよ」とか、右往左往している。それを横目で見ながらオレはといえば、内心では同じようなうろたえっぷりだったのだが、そんなことは表に出さず、黙々とパンツだけ残してさっさと着替えるのであった。なにかの本で読んだのだが、タイ古式マッサージでは、けしてセクシャルな店だとかは関係なく、全裸で施術を受けるのが基本。だったりするそうなのだが、まあここは個室でもないし、さすがに全裸には恥じらいもあって、パンツくらいだろうと判断したのだが、結果的にはたぶんTシャツくらいは着ていても、ぜんぜん影響も何もなかったのではなかろうか。あえて脱ぐ必要もないし、逆に着ていなければならないというものでもない、というところだろう。 さていよいよ施術開始。オレのタイ古式マッサージデビューである。まずは仰向けになって、足からゆっくりと揉み解されていく。痛いというほどでもない、くすぐったいと痛いの中間くらいの、いわゆる痛気持ちいいというところだろうか。時折、ツボにグボッと指が入り込んで「痛ッ」っとなるが、中国式のこれでもかという責苦ほどではない。うーん、タイ式心地よし。 と思っていたら、足先からだんだんと上ってくるのであった。腿から股へ。局所的な攻撃をするというわけでけしてないのだけれど、股間あたりのリンパマッサージになると、これはいけない。くすぐったいというか、やばいというか、意識していなくても大金時様がイケナイ状態になりそうな感じがあって、いたたまれない。それはオレだけではなく、一同全員がそうだったようだ。全員皆ぞわぞわと声をあげる。 繰り返すが、ここはごく普通の古式マッサージの店で、そういう意図でのマッサージではないのだけれど、そしてこちらもそんなことを望んでいるわけじゃあないのだけれど、しかし身体はそんな心の葛藤と羞恥にはお構いなしに、物理的刺激で図らずも反応してしまうのである。ああ。 そんなオトコゴコロに気づいているのかいないのか、施術師の皆さんもなぜかフフフと笑いあうのである。勝手な想像としては「この人達、案の定、反応してるわん、オホホ」という感じだろうか。学生さん達はそんなわけで、かなり気持ちよくも嫌そうな雰囲気で「もうやめてー」みたいな感じだったようだ。 オレはといえば、そんなナイーブなお年頃というわけでもない。ここはひとつ親父的リアクションで「どーせ、誰でもそういうふうになっちゃうんだろうし、施術の人も状況慣れしちゃってるだろうし、いまさら照れてもしょーがねーじゃん。なるようになれ、だ」となかば諦めにも似たされるがままの対応である。恥ずかしいといえば、そうなっちゃってる状況をまわりの男連中に知られてしまうことへの照れだが、それは全員そういう状況だったので相身互い。まあ、ここであえて語るなら「こんな汚い大人でゴメン、ガキさん(あ、名前出しちゃった)」といったところである。 そうこうしているうちに今度はうつ伏せに裏返され、さらに海老反り、チキンロック、さらにひっくり返されて、今度は吊下げ、とプロレスのサブミッションかと思わせるような技を掛けられまくり全身の筋肉をほぐされていく。 そんなこんなの1時間。心地よい脱力感と精神的疲労でぐったりとなり、店を後にするのであった。でもマッサージとしてはかなりよかった。恥ずかしささえ克服できたなら、だけど。
by gdcl-nshb
| 2007-02-04 08:00
| ├ タイ旅第三夜
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