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南船北馬inblog

【旧:南船北馬(HTML版)はこちら】
【南船北馬】:絶えず方々に旅行すること。昔、中国では、南部は川が多く船で、北部は陸地を馬で旅行したことからいう。そんなふうにしょっちゅう旅に出られたらどんなに楽しいことだろう…
by gdcl-nshb
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王宮のエメラルド
 再度、船に乗り戻ってくると、今度は対岸すぐ近くにあるワット・プラケオに移動する。
王宮のエメラルド_d0081682_14333677.jpg ここはエメラルドの仏像のある寺院として、また、王の城、実際に執務を行なう屋敷としても有名である。現役の王家の城であるから、当然ながら軍隊が守っているのだ。邸内? 敷地内? を衛兵が警備している。見学途中、閲兵式なのだろうか衛兵の交替時刻の儀式なのか何だったのか結局判らずじまいではあったが、ロンドンはバッキンガム宮殿で観たようなマーチングバンドと衛兵の行進があり、なるほど王宮というものの一般的な設定を知るのであった。

 しかしオレの一番の関心ごとであるのは、やはり寺。ここで一番目立つのは黄金色の仏塔だが、しかし、ガイドさんは「まずはエメラルド仏をみてください」と案内される。やはり一番の目玉なのである。そして一番厳重に管理されているのである。寺院内のどこでもかしこでも写真は自由に撮ってもかまわないのだが、ここ本堂だけは撮影禁止。その分、ガン観で心に刻み込もうじゃないのよ、と気合いを入れるオレ。
 仏もそうだが、実は本堂もすごいのである。造りに気合いが入っている。全面がビッカビッカに輝いている。色とりどりの鏡、ガラスがタイル様にびっしりと貼り込まれていており、陽光を反射して輝いている。それはもうどんだけ輝けば気が済むんだよというぐらいに。眩しすぎる。あなたは眩しすぎるのよ。

 そんな荘厳なんだか絢爛豪華なんだか、あるいは単なるケバケバしいだけなのか判断がつきかねる堂内にしずしずと入る。果たしてそこにはエメラルド色が鎮座ましましていた。今は冬の時期なので袈裟も厚めのものをまとい、想像していた一段高い場所どころではない、かなり高所から我々を見下ろしている。正直、距離が遠くてあまりじっくりと対面するような気持ちにはならなかったのだけれど、仏像の素材ではめったないエメラルドの持つ質感と、まわりの人々の神妙な面持ちのせいか、なんとなく高貴なパワーは感じたのだった。

王宮のエメラルド_d0081682_14335284.jpg しばらく無言の対話を行なった後、ガイドさんから「自由見学!」のお許しが出た。さっそく仏塔に向かう。
塔はなんとなくモスクを思わせる雰囲気であった。またガウディ建築のようにもみえた。おそらくそれはカラフルな柄タイルによるせいであろう。ある意味無国籍的、汎宗教的である。しかしそれはオレの勝手な見立てでありこれこそがタイのスタイルなのであろう。
 さて、仏塔の回廊のある3階ほどの高さまで階段を登る。寺院入口に広がる公園側からみての前方に、黄金色の円型の仏塔。後方にも黄金の円型仏塔。中央の塔は四方の入口にガーディアンよろしくハヌマーンが扉をガードしている。また四隅には小さな、といっても1メートルほどの正座仏陀が鎮座している。とにかく塔。仏。そしてそれらは基本的に金ピカのピッカピカなのである。絢爛で豪華なのである。

王宮のエメラルド_d0081682_1434593.jpg 登って近くで観てはじめて気づいたが、前方の塔の金ピカは塗ったものではなく、数センチ角の正方形の黄金色のガラスタイルが整然と貼り込まれていたのであった。ものすごい手間をかけて作り上げられている。すごい。
 後方の円塔は塗りによるつくりなのだが、こちらはこちらで中程の高さを一周ぐるりとカラフルな護神が塔を支えている。まったくもって気合いが入った建物である。

王宮のエメラルド_d0081682_1434193.jpg 回廊からあたりを眺めまわす。境内をぐるりと取り囲む塀の門には5メートル程もあろうかという身長の4色の護神が門を守っている。かなりの迫力である。今気づいたのだが、彼らは全員内部を向いて立っている。外部からの侵入者の警護ではなく。堂内を見守っているのだろうか。しかし普通の感覚では相対する者に向かって配置するはずであり、それがちょっと不思議である。いったい何から警護しているのだろうか。
 とにかく堂内はガルーダをはじめ、いろいろな異形の神々がこの地を守っていることが判る。仏教国のタイではあるが、ヒンドゥ教などの汎神的要素を色濃く残しているのかなぁ、と思うのだった。

王宮のエメラルド_d0081682_14343363.jpg ちょっと視点の変わったものとしては、回廊の一角にアンコールワットの何十分の一かのモデルがあったことだろう。石造りなのかどうかは判らないが、素材とその朽ちた感じからすると、どうみても最近作られたものではない。とにかくつくりが精巧で、なんでここにあるの? という疑問は感じつつも、おおすごいではないか。とヘンに納得させられ、そして、行ってみたいなぁと旅先でさらに旅への欲求をかきたてられた。

王宮のエメラルド_d0081682_14344579.jpg 本堂の回廊を降りて境内を一周する。本堂を取り囲む渡り廊下的な回廊には、壁画が描かれている。その図は仏教モチーフではなく、詳しくは知らないが薄ぼんやりしたオレの記憶では確かヒンドゥー神話だったはずである。やはりここタイは、宗教的に幾度かの上書きと交雑があったということなのだろうか。まあしっかり調べれば判るのだろうが、オレとしてはそんな想像を楽しむ程度でとりあえず満足しているのでそれはそれでよし、だ。

王宮のエメラルド_d0081682_14345945.jpg 境内の出口付近にワット・アルンのようなタイル張りの高さ2、3メートルほどの小さな仏塔があった。このタイルの貼り方なのだが、中盤の飾り部分(?)に三角形に尖ったギザギザの切れ込みがあり、「これって歯にみえるなぁ」と思っていたら、どうやらその想像どおりらしく、全体を見れば龍が歯をむきだして巻きついていた。オレの解釈が正しいのかどうかは判らないが、塔全体と細部の連携は、全にして一つの仏教的解釈としても一致するのではないか。とまた勝手な解釈をして楽しんでしまった。

by gdcl-nshb | 2007-02-04 04:00 |  ├ タイ旅第三夜
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