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南船北馬inblog

【旧:南船北馬(HTML版)はこちら】
【南船北馬】:絶えず方々に旅行すること。昔、中国では、南部は川が多く船で、北部は陸地を馬で旅行したことからいう。そんなふうにしょっちゅう旅に出られたらどんなに楽しいことだろう…
by gdcl-nshb
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深夜バスはオレをどこへ誘おうとするのか
 秋である。
 あふれる仕事の波に翻弄され右往左往する中、突然ぽっかりと2連休ができた。と、くれば、だ。旅に行くしかないだろう。しかしゆっくりとプランをたてる余裕はない。考えあぐねる間もなく休みは迫ってきている。なにしろ、明後日なのだ。どうするのよ、オレ?
 というわけで、選び出した今回の目的地は北東北、青森。目的は弘前市で開催中の奈良美智の個展。そして今年の7月に青森市にオープンした青森県立美術館。こちらも奈良美智の作品を多く収集している美術館である。つまり、今回のテーマは「奈良漬け!」。
 それでなくとも酒どころの東北だ。まさに芸術の秋にして食欲の秋。大丈夫か、オレ!? 楽しみだなぁ。
 実のところ、もともと奈良展には行くつもりで、だから秋のどこかでタイミングを見計らって青森へは行くつもりだったのだ。ただ、それが明後日だとはオレ自身、全然思ってもいなかった。それもこれも深夜バスのおかげ、あるいは仕業。ともあれ、職場からバスターミナルへ直行するのであった。

深夜バスはオレをどこへ誘おうとするのか_d0081682_11235545.jpg 品川駅バスターミナルははじめてだったが、どことなくやさぐれた感じがあった。バスを待つ人は少なくなかったが、これから旅立つ浮き立つ気持ちというものがなく、疲れはて失意のうちに故郷に逃げ帰る、そんな陰鬱とした雰囲気が漂っている。
 深夜バス利用者に対してヘンな色眼鏡で見ているのかもしれない。あるいは来るべき寝苦しい夜に対する嫌な予感で憂鬱だったのかもしれない。

 深夜バスの予約の際に少々トラブルがあり、コンビニからはじまり電話、カウンターに至るまでそこここでイラッとしっぱなしっだったのである。だが、よく考えればどれもこれも些細なことで、普段なら、ま、いっか、とかわすことのできる程度の内容なのだ。そんな些事に真っ正直にぶつかってしまうとは、思い返せば自分でも大人気なかったな、と思う。多分、いつの間にか積もり積もったいろいろなことがオレの余裕をなくさせていたのかもしれない。そんなストレスも今回の旅で発散してしまいたい。

 ともあれ、深夜バスは出発する。
 実はオレは深夜バスはあまり得意ではない。ぐっすり眠れないのがその理由で、じゃあ、何故に眠れないのか。というと、それは座席のつくりのせいである。オレは横を向いて寝る癖があるのだが、座席だとそれができないし、寝返りも打てない。その結果、安眠できない。と、以前、深夜バスに乗ったときに実感しているのだ。ただこの仮説には若干の疑問があって、オレはしかし飛行機の場合は狭いエコノミー席でもそれなりに熟睡しているのだ。その差はなんなのだ。気の持ちようなのだろうか。原因は判らずじまいである。

 案の定、眠れなかった。いや、眠れなかっただけではない。どうやらうなされていたらしい。ものすごく不思議でリアルな夢をみた。
 オレは、やはりバスに乗っていて、今まさに吹雪の中を山の街に向かって走っていた。しばらくするとバスはとてつもなく長いトンネルに入っていく。トンネル内はオレンジ色の照明で染上げられどこか別世界のようであった。名物のトンネルなのである。オレはここぞとばかりにワクワクしながらデジカメに収めようとフロントに身を乗り出して撮影する。イメージとしては、信州のスキー場へ向かう途中に黒部ダムのトローリーバスのルートを走っていると想像してほしい。急登あり交差点ありのかなり複雑なトンネルを抜けるとそこは銀世界。昭和の香りのする街並みと松並木は真っ白に埋めつくされている。軽く吹雪いてもいた。どうやらオレが行こうとしているのは雪深い秘境、世界遺産とも云われている場所らしい。オレはもちろんこれが夢という意識はまったくなく、今乗っているバスは雪山に向かっていることが至極当然だろ、と思っている。
 本当にそこに向かっているのだという意識のまま、シームレスに夢から現実へと意識は浮上してきているのだが、しかし夢の中の行き先と車窓の風景はそのまま現実のものという気分そのまま抜けない。うつろうつろ思考は空回りする。それにしても雪国に行くのは大変だなぁ、でも、あれ? 今はまだ9月なんだけれど雪が降るのは早いんだなぁ。まだ夏なのに。そういえばオレが向かっているのは山じゃなくて、弘前だったよな。あれ? 半分寝たまま現実とのすりあわせができはじめ、はじめて、そうか、これは夢だったんだと気づくのである。ここまで夢と現実が混濁した状態になったのは実ははじめてだった。多分、こんなレム睡眠的状態と半覚醒状態がほぼ1時間おきに繰り返され続けて、よほど悪い寝かたになってしまったのであろう。寝つきも最悪で一晩を通して眠ったという充足感を得ることができていない。起きてなお疲れのみ残っていた。
 そうして考えてみると、やはり深夜バスは俺には合わないのだろうな。

by gdcl-nshb | 2006-09-21 01:00 |  ├ 弘前編
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