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南船北馬inblog

【旧:南船北馬(HTML版)はこちら】
【南船北馬】:絶えず方々に旅行すること。昔、中国では、南部は川が多く船で、北部は陸地を馬で旅行したことからいう。そんなふうにしょっちゅう旅に出られたらどんなに楽しいことだろう…
by gdcl-nshb
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命の薬、養命酒
命の薬、養命酒_d0081682_1795456.jpg 養命酒工場である。おそらく誰もが知っているであろうその名である。もちろんオレも知っている。しかし、名前は知っていても、そして健康によい酒という大雑把な効能については知っていても、本当はなにも知らないのである。製法は? 来歴は? なにも知らないのだ。そんな養命酒についての謎を、ここ養命酒駒ヶ根工場は教えてくれるのだ。別に物見遊山な気持ちだけではなかったが、いや行って正解。いろいろわかってすごく勉強になった。
 実は工場は、まさに訪れたその日からお盆休みに入ってしまっていた。とりあえず見学受入れだけは行なわれており無駄足を踏む事はなかったのだが、少々ガッカリしたのだが、ともあれ、見学開始である。
 まずは、養命酒のアレコレに関する解説映画を観る。この手の企業紹介映画は、観終わってがっかりすることが往々にしてあるものだが、意外にもかなり面白かったのであった。面白い、というよりも、興味深いという言葉のほうが正確なのだろうが、養命酒についてあまりにも知らないことが多く、そんな無知の脳みそ内にどんどんと無駄な知識が蓄積されていく。そんな快感があった。
 オレが特に驚いたのは、次の3つで、ひとつめは「養命酒は江戸時代より前からあった」こと。なんとなくうさん臭い伝承ではあるが、そういう伝承的な由来があること自体が面白いではないか。
 ふたつめは「養命酒がスピリッツではなく醸造酒で造られている」こと。オレは今までフレーバーウォッカのように蒸留酒に生薬を漬けこんで造るとばかり思っていたのだが、そりゃ江戸より昔なら醸造酒であろう。そして日本の醸造酒が日本酒だけじゃないのだなぁということに感慨を覚えるのだった。
 最後は、「この工場だけで全世界の養命酒をまかなっている」ということ。養命酒が世界中で飲まれているのはいいとして、それがすべてこの駒ヶ根から発信されているのだ。オンリーワンであるのだ。これにはかなりビックリした。日本の底力は町工場だけではなく、ここ駒ヶ根にも存在したのだ。大袈裟かな。

 さて、映画の後は、工場を見学である。もちろん生産ラインはお休み中でガランとした工場内を上部の通路から覗き込む。わずかに数名の作業員(?)が機器のチェックのようなことをしているのみで、あとはひたすら静かな場内である。もっともオレ的にはそれでも十分堪能することができた。むしろライン稼動中よりも面白かったかもしれない。けして負け惜しみではなくそう思った。まあ、一番面白かったのは場内のそこここにおいてあるゴキブリホイホイで、なるほどそういう努力が必要な工場なのだよなぁと共感を憶えたりするオレのツボがちょっとずれているのかもしれない。

命の薬、養命酒_d0081682_17101215.jpg さて、見学コースが終了すると、あとは自由に敷地内を散策する。工場内は木々が多く、公園といっても過言ではない自然環境なのだ。敷地内では、縄文・弥生・平安初期それぞれのの集落跡が発見されていて、その家屋が復元されているのだった。これまで古代の住居を見たことがないわけはないが、縄文から平安という時代の変遷による違いを俯瞰してみたのははじめてで、これが思いのほか面白かった。特に平安期も竪穴式住居だったというのは非常に新鮮な驚きであった。確かに平安という時代のイメージは平安京に代表されるように都市であり、個々の家についてもなんとなく板造りの今でいう和風建築的な印象がある。しかし実際のところ弥生からガラッと変わるわけもなく、また地方の集落まで(当時の)近代化が進んでいるわけもなく、つまりはここでみることのできたような住居であったことはよくよく思えば容易に導き出せる回答なのである。今まではそこまで想思いもしなかったというわけで、人生常に学びの場なのだなぁと思った次第である。

 残念だったのは、ここまで養命酒について知見を得たというのに一滴も飲むことができなかったということだ。車で訪れているのだから仕方がないのだが、試飲コーナーで、養命酒だけではなく、ここで作られているハーブスピリッツリキュール2種類をもお勧められたのには「これは新手のイジメ? 拷問?」と思わずに入られなかった。本当、車見学の悲しさを痛烈に味わった。もっとも車じゃないとこれない場所なので、元々覚悟してはいたのだけれどね。

by gdcl-nshb | 2006-08-12 07:00 |  ├ 人が造りしモノ
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